アルバイトしたのです。東京オリンピック。
成田空港で選手や関係者の入国をサポートするお仕事。
成田駅近くのホテルに数泊して数日間東京へ戻る、というルーティンを約1ヶ月。
振り当てられるホテルは空室状況によるので、毎回同じホテルとは限らない。
仕事なので宿泊したのはどこも安い駅前ビジネスホテル。
なのに、これが楽しかった。
成田山への参道があるとは言え、ホテル周辺は何もない普通の街。
何度も見た道程、駅、風景。
小型のスーツケースを転がしてフロントへ。
いつもホテルのいつものフロント、なのに毎回うきうきとチェックイン。
スーツケースを持っていない方の手でカードキーとウェルカムコーヒーをいただく。
コーヒーをこぼさないように人差し指でエレベーターを押す。
廊下も部屋も全部わかっているのに、うっかりニヤニヤしてしまう。
「ビジネスホテルなんて、大したことないわ。」と、今日のお部屋を開ける。
数日間過ごす空間、出来るだけ土足で踏みたくないので、入口あたりですぐにスリッパに履きかえるのもいつものこと。
まずはコーヒーをテーブルに。
上着とバッグをベッドの上に放り、バスタブにお湯を張る。
折り畳みのラゲッジラックを出してその上にスーツケースを。ケースの車輪は壁側に。
テーブルの引き出しは大事な収納。ホテル案内やパンフレットは目を通したら外へ移動。代わりに私物を移していく。
コンビニの買い物を冷蔵庫に収納。
テーブルの上は物を置いたり、パソコンを使ったり、食事をしたりする大切なスペース。
テレビでもつけてみよう。
小さなユニットバスだもの、お湯はあっという間に溜まる。
歩き疲れた体をお湯に浸す。テレビはつけっぱなし、バスルームの扉を開けたまま鏡に映るテレビに目をやる。それとも小説の続きを読もうか。
お風呂上がりは濡れたままの体をホテルのローブで包む。清潔なバスタオルもあるし。ドライヤーを使いながらテレビに目をやり、冷蔵庫から今日買ったドリンクやおやつを取り出す。
こんなこと出来るのホテルだけじゃない?
気ままで幸せな私だけの時間。
こんな楽しい時間を発見してしまったのです。
もうやめられない、ホテルステイ。
「場所はどこでもいい。安くホテルステイを楽しみたい。」と調べたら、バス・トイレ付きのシングルルームが2千円台から!
コロナ禍ということもありましょうが、すごく安い。
こうしてホテルステイが私の趣味に加わったのです。